Vol.3環境 強欲な壺 遊戯王最大の過ち
Vol.3発売 革命的パック
1999年5月27日、Vol.3が発売されました。2日前に発売されたBooster 2が打点の更新しか環境に齎さなかったのに対し、このパックは一環境を超え、遊戯王というゲームに革命を起こしました。それが効果モンスターの登場です。
また、タイトルにもあるように、効果モンスター以外にも非常に大きなインパクトのあるカードも収録されています。カードリストはこちら。
効果モンスター誕生
遊戯王OCG最初の効果モンスターは、意外にもリバースモンスターでした。
これまでモンスターには攻撃力・守備力しか判定の基準がありませんでした。それが効果モンスターの登場により、モンスターカードという枠組みの可能性が大きく広がることになったのです。
誕生するべきではなかったカード 強欲な壺
これからの遊戯王全体で考えれば、効果モンスターの登場よりも大きな衝撃はありません。しかし、この時期に限定すれば、効果モンスターを差し置いて、理解できないほどに強烈なカードが産まれてしまいました。それが、強欲な壺です。
長らく禁止カードでありながら、その知名度は非常に高いため、遊戯王をプレイしたことがなくても効果を知っている人もいるのではないでしょうか。ご存知の通り、このカードは引くだけで手札が1枚増えるというアドバンテージというゲーム性に真っ向から喧嘩を売っているカードであり、率直にいってゲームを破壊することしかしません。
このブログをお読みになっている方に強欲な壺が何故強いのかを説明するのは蛇足だと思うので割愛します。しかし、単純な強さとは別に、このカードがVol.3という、遊戯王というゲームが成熟していない時期に登場してしまったことも問題なのです。
これまでのデッキをご覧いただければわかるかと思いますが、この頃は自分のカードの効果でアドを増やすという行為は困難で、基本的には戦闘か全体除去でしかしかアドバンテージを獲得できません。そのため、強欲な壺でついてしまったカードの枚数差を埋めるのが難しすぎるのです。
また、カードをサイクルするカードが乏しく、デッキを圧縮することもできません。よって、強欲な壺を引いたプレイヤーだけが2枚の圧縮ができ、2枚目に辿り着ける確率が高くなる、というのも問題です。
当然のように規制がかかるまでは3積み以外あり得ないカードです。そして片方のプレイヤーだけが引いた瞬間ゲームの勝敗に大きく影響するため、ここからしばらくの環境は強欲な壺に振り回されることになります。
Vol.3環境 最強デッキ解説
岩石の巨兵
効果モンスター登場の影に隠れがちですが、最強の壁モンスターが登場しています。まだ遊戯王全体のカードプールも乏しく、依然として守備力2000は強力なため、このカードも文句なしの採用です。
人喰い虫
目玉である効果モンスターその1です。
リバースした際にモンスター1体を破壊することができ、壁モンスターは自分から反転召喚することで、ホーリー・ドールには攻撃されることでそれぞれ対応可能なため、モンスターでありながら除去としてとても優秀です。
スケルエンジェル
人喰い虫と違いデッキ圧縮しかできないため、あまり強くはありませんが、この環境では強欲な壺を引けるかどうかが非常に重要なため、3積みしています。
どちらかというと、スケルエンジェルを差し置いて入れたいカードが無い、という方が適切かもしれません。
『守備』封じ
とても面白いカードです。環境は依然として壁モンスターが強いため、それを戦闘で乗り越えられるため3積みしています。
攻撃宣言時に発動するような罠カードがまだ存在しないため、召喚が通れば安全に戦闘破壊まで持っていける点が安心です。
強欲な壺
説明は不要かと思います。このカードが存在する限り、デッキを組む時はこれを上限枚数入れるところから始めます。
光の護封剣不採用の理由
枠の都合で打点の足りていないモンスターが減るのは当然として、光の護封剣が抜けているのは説明が必要かと思います。
結論から言うと、護封剣が時間稼ぎ以外の仕事をすることが難しくなったから、というのが理由となります。
それは前からでは?と思われるかもしれませんが、以前の記事でお話ししたように、光の護封剣は打点で単純に殴り負けするモンスターを入れるよりはこちらを入れる、という意図がありました。
この環境になり、とうとう素で殴り倒されてしまうというモンスターはいなくなりました。そのため、護封剣は本当にただ3ターンを稼ぐだけのカードとなり、それであれば採用に値しないと結論づけました。
プレイング解説
これまでになかったリバースモンスターの登場により、それ関連でいくつか注意点があります。
裏守備に人喰い虫セットで返すリスク
基本的にはどう使っても損のない人喰い虫ですが、例外として反転召喚されたスケルエンジェルに攻撃されるとアドバンテージを獲られてしまいます。そのため、相手の裏守備に対してこちらも人喰い虫セット、という返しは見た目以上にリスクがあります。
『守備』封じを裏守備に使うリスク
『守備』封じは裏守備モンスターにも発動できるのですが、リバースモンスターの存在により、安易な使用は危険です。
裏がスケルエンジェルだった場合は単純に打ち損ですし、人喰い虫も自分のモンスターがいる場合は手痛い失敗となります。
これをケアするために、基本的に裏守備は一度モンスターで攻撃することが重要です。
環境の感想
人喰い虫や『守備』封じの登場によって壁モンスターの突破がしやすくなり、全体のゲーム性としては楽しくなったと思います。
ただし、強欲な壺だけは話が別であり、これを引けるか引けないか、何枚引けるかが勝敗に影響しすぎるため、運要素が高まってしまっています。本当に、このカードさえ無ければ良い環境だったと思います。