遊戯王歴史探究 歴代の最強デッキを考える

遊戯王OCGの歴代の環境を実際にプレイし、その時点での最強デッキを考えていきます

第2期開幕 ルール・制限・裁定の大幅改訂

第2期始動

 2000年4月1日より、遊戯王OCGは第2期へと移行しました。

 カードデザインがわかりやすくなった他、ルールが大幅に変更され、同時に制限改訂と、クリッター、黒き森のウィッチの裁定変更が行われました。

 

 

 

新エキスパートルール

 これまで使用されてきたエキスパートルールから、新エキスパートルールへ改訂されました。

 重要な変更点について解説していきます。

 

 

デッキ切れしたら負け

 エキスパートルールではどちらかのプレイヤーがデッキ切れ(ドローしなければいけないのにできない状態)になった場合、その時点でライフの多いプレイヤーの勝利となっていました。

 新エキスパートルールでは、デッキ切れした方がその時点で敗北となります。

 この変更により、デッキ破壊デッキを組むことが現実的になりました。

 

 

手札上限枚数の設定

 エキスパートルールでは手札に上限枚数はありませんでした。

 新エキスパートルールでは、自分のターンのエンドフェイズに手札が7枚以上ある場合、6枚になるまでカードを捨てる必要があります。

 一方のプレイヤーが爆発的なアドバンテージを稼ぐことへの抑止力となります。

 ただし、増えたアドバンテージを場に出せば解決してしまうため、そこまで影響はありません。

 

 

サイドデッキの枚数増加

 エキスパートルールではサイドデッキは10枚まででしたが、新エキスパートルールでは15枚までになります。

 第1期はグッドスタッフとエクゾディアの2種類しかデッキタイプがなかったため10枚で十分でしたが、今後環境が多様化することを考えれば、この変更は重要です。

 

 

先攻ドロー有り

 エキスパートルールでは先攻プレイヤーにドローはありませんでしたが、新エキスパートルールではありになります。

 先攻は攻撃できないため、先攻ドローがなければ、モンスターや罠を先に置けることしか強みがありません。

 それだけで考えれば、先攻ドローはありにしてもいいでしょう。

 しかし、既に第1期がそうであったように、メインフェイズの段階で能動的にアドバンテージを増やす手段(強欲な壺、天使の施し)と有効な妨害手段(神の宣告、マジック・ジャマー)がある場合、プレイヤーは先攻ドローがなくても先攻を選びます。

 そのため、この変更は相当に思い切ったもので、実際、再び先攻ドローが廃止されるまで、じゃんけんに勝って後攻を選ぶことはほとんどあり得ない状態となります。

 

 

1勝2分けでも勝利

 エキスパートルールでは1勝2分けの場合、そのマッチは引き分け扱いでしたが、新エキスパートルールでは1勝したプレイヤーの勝利となります。

 直感的にも論理的にも1勝2分けで引き分けになるのは理解し難く、妥当な改訂だと思います。

 

 

チェーン・スペルスピードの導入

 今となっては遊戯王の根幹を成す重要なルールですが、エキスパートルールではこの概念がありませんでした。

 もっとも、第1期は単純な効果のカードが多く、そうした概念がなくても困ることはほとんどありませんでした(白い泥棒+追い剥ぎゴブリンでチェーンを組めれば、相手のクリッター、ウィッチを落とし続けるという不運を避けられる、等はありましたが...)。

 第2期からはこのルールのおかげでより複雑なデザインのカードがデザインできるようになり、ゲームに深みをもたらしています。

 また、優先権やタイミングを逃す、逃さないのルールもこれに付随する形で導入されています。

 

 

 

制限改訂

 今回の改訂から、準制限カードという枠組みが設けられました。

 

 

制限カード

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エクゾディアパーツ

 封印されしエクゾディアのパーツが全て制限となりました。

 最終的には全て1枚ずつの構築が主流でしたが、今回の改訂で遺言状も制限になっているため、パーツに対する規制も意味があると思います。

 

強欲な壺

 極めて理不尽なカードであるため、禁止にしてもよかったと思います。

 枚数が減ったことでゲーム中に発動される回数は減ったものの、逆にいえば安定してこのカードを引けなくなったため、相手に一方的に使われた際の強さが際立つことになります。

 

心変わり

 このカードが存在するだけでリバースモンスターの評価が大きく落ちていたため、妥当な規制だと思います。

 

遺言状

 汎用性が高すぎるため、今後のカードデザインを考えても妥当な規制だと思います。

 

聖なるバリア-ミラーフォース-

 グッドスタッフのミラーを見越したのでしょうが、わざわざ制限にするほどかというと疑問です。

 

 

準制限カード

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死者蘇生

 白い泥棒を蘇生したり、エクゾディアの展開にも使われたりと、非常に汎用性の高いカードです。

 ケアが困難で、ワンキル、ないしゲームエンドに直結しやすいカードとなっています。個人的には制限でもよかったと思います。

 

天使の施し

 後述するクリッター、ウィッチの裁定変更により、壊れカードではなくなりました。

 それでも無条件で手札を3枚入れ替えられるのは強力なので、準制限は妥当でしょう。

 

ハーピィの羽根帚

 このカードが蔓延っている環境では罠カードの評価が軒並み下がってしまうため、規制は妥当です。

 とはいえ、まだ大嵐も3枚残っているため、気休め程度ですが...

 

 

制限解除

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落とし穴

 そもそも制限になる必要がなかったカードだと思います。

 

 

 

クリッター、黒き森のウィッチ裁定変更

 これまではどこから墓地へ送られても誘発しましたが、フィールドから墓地へ送られた場合のみの裁定となりました。

 後にテキストも書き換えられているため、裁定変更というよりは事実上のエラッタといえるでしょう。

 第1期はグッドスタッフ、エクゾディア共にクリッター、ウィッチを基盤に据えていたため、この変更は環境に非常に大きな影響を与えています。

 具体的には、天使の施しによるアドバンテージ獲得ができなくなったり、マジック・ジャマー等の手札コストが必要なカードの採用が厳しくなったりです。

 

 

 

2000/4/1改訂 最強デッキ解説

 上述した制限改訂と裁定変更により、グッドスタッフ、エクゾディア共に弱体化しました。

 そうした状況の中、第2期最初の最強の座についたのはグッドスタッフでした。

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白い泥棒、仮面魔道士

 デッキのメインコンセプトです。

 これらの攻撃を通すことでアドバンテージを増やすことを狙います。

 処理されなければ毎ターン効果を使えるため、低ステータスながら強力なアタッカーです。

 

クリッター、黒き森のウィッチ

 召喚権が必要になったとはいえ、アドバンテージを失わずに場に出せるのは変わらず強いです。

 モンスターの枚数を抑えることを可能にし、事故の軽減に役立っています。

 

地雷蜘蛛

 役割は、守備表示の黒き森のウィッチ、仮面魔道士を踏み倒すことです。

 ウィッチを横で出されただけで戦況が固まってしまうため、アタッカー役は必須となります。

 アタッカー役として最も使い回しがいいのはヂェミナイ・エルフなのですが、

ヂェミナイエルフで黒き森のウィッチを倒す

ウィッチで地雷蜘蛛(ダーク・エルフ)をサーチされる

そのまま返しで戦闘破壊され、相手の場には高打点モンスターが残る

という状況が頻発するため、仕方なく地雷蜘蛛を優先しています。

 地雷蜘蛛ですが、50%の確率で普通に攻撃できるため、意外とリスクが気にならない試合も多いです。

 一方、神の宣告と合わせてライフを使いすぎてしまい、死者蘇生を無理矢理通されて負けてしまうというケースもありました。

 

人喰い虫

 自分のクリッター、ウィッチが相手の地雷蜘蛛(アタッカー)に倒された際、返しで罠を用意できない場合にサーチします。

 人喰い虫ではなく、地雷蜘蛛をサーチして相打ちさせれば、盤面上は解決します。

 しかし、その場合後続の白い泥棒、仮面魔道士が通ってしまいます。

 人喰い虫であれば、攻撃を1回受け止めつつ、後続のモンスターを破壊することで、1枚で2回分の攻撃に対処することができます。

 そのため採用されているのですが、使用場面が限定されているため、ピン刺しにしています。

 

キャノン・ソルジャー

 遺言状とのコンボ用です。

 ループによって4000〜5000程のバーンダメージを与え、後は総攻撃してメイン2に自身も含めて射出してワンショット、という使い方が基本です。

 他にも、クリッター、ウィッチを射出して爆発的なアドバンテージを稼ぐなど、状況によって使い分けができます。

 このカードがあると遺言状のパワーが桁違いにあがるため、1枚は採用するべきです。

 一応、心変わりで奪ったモンスターを射出してしまうなんて使い方もあります。

 

サイドデッキ

 後述する、エクゾディアやデッキ破壊相手の入れ替え用です。

 ヂェミナイ・エルフは地雷蜘蛛と交換します。

 メタモルポットはエクゾディア用です。

 なくても不利ではないのですが、勝ちを確実にするために用意しています。

 省いていますが、地割れやミラーフォース、落とし穴の入れ替え先もあるとなお良いです。

 

 

 

最強ではないが、意外と戦えるデッキ達

 サイドデッキまで含めるとグッドスタッフが最強ですが、シングル戦ならいい勝負をするデッキもあります。

 

エクゾディア

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 1つ目は、厳しい規制を受けたエクゾディアです。

 全盛期と比べて大幅に弱体化しているのは間違いありませんが、長い時間をかけて着実にパーツを回収するスタイルに転換することで、デッキとしては十分成立しています。

 メイン戦はグッドスタッフにもいい勝負をするのですが、サイドからメタモルポットを入れられるとまず勝てないのが課題です(全盛期と違って経過ターンが長いため、メタモルポットを通される隙が多い)。

 

デッキ破壊

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 2つ目は、ルール改訂により作成できるようになったデッキ破壊です。

 防御に重きを置いている点ではエクゾディアと似ていますが、最大の違いはメタモルポットによる大量のドローです。

 相手に引かせる5枚はデッキ破壊としつつ、自分は簡単にリソースを全快できるため、エクゾディアに比べて延命も容易になっています。

 さらに、リソースが豊富なためマジック・ジャマーを3積みできる点も重要で、負け筋になる羽根帚や大嵐、サンダー・ボルト、ブラック・ホールをケアすることができます。

 デッキパワーだけで見てもエクゾディアよりは強く感じますし、エクゾディアに対しても非常に有利なため、グッドスタッフ以外を使うとすればこちらがいいでしょう。

 問題はやはりサイドチェンジ後で、グッドスタッフ側が不要牌を入れ替えてくる一方、こちらはこれ以上グッドスタッフに寄せるのは困難なため、どうしても差がでてしまいます。

 今後はサイバーポッドが登場しますが、この時点ではニードルワームとメタモルポットの6枚体制のため、メインの段階でグッドスタッフに有利がつくほどのパワーがないのも課題でしょう。

 

 

 

環境解説&感想

 強欲な壺の規制と、クリッター、ウィッチの裁定変更により、先攻ゲーが解消されました。

 また、遺言状エクゾのような極めて理不尽なデッキもいなくなり、全体的にゲーム性がよくなっています。

 グッドスタッフ同士の対戦も、手軽にアドバンテージを稼げなくなった分プレイングが重要になっており、プレイしていてとても楽しいです。

 デッキタイプも拡がりを見せていて、個人的には、ここまでプレイしてきた環境で1番好きかもしれません。

Booster7環境 吹き荒れる大嵐

Booster7 第1期最後の環境変化

 2000年3月1日、Booster7が発売されました。Boosterシリーズの最終弾であり、第1期最後の環境変化となっています。(この後に1つパックが発売されますが、実用的なカードは含まれていません。)カードリストはこちら

大嵐

 前弾のBooster6以上に不作で、まともに使えるカードは大嵐のみといっていいでしょう。

 ハーピィの羽根帚が3枚使える環境で大嵐が使われるのか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、サイドデッキまで含めれば3積み確定カードです。

 この環境は強欲な壺、天使の施しを発動できるかどうかが非常に重要で、そもそも先攻をとるようになったのもこれらを確実に発動できるからです。そして、後攻のプレイヤーは神の宣告、マジック・ジャマーを乗り越える必要がありますが、これに有効なのが羽根帚、大嵐です。

 では、メインから合わせて6積みすればいいのかというと、それは違います。羽根帚、大嵐は先攻1ターン目には全く役に立たないカードであるため、積みすぎは事故に繋がります。それよりも、先攻なら罠にスロットを回した方が賢明です。反対に、後攻では宣告やジャマーは既に打ち時を逃している可能性が高く、羽根帚、大嵐の方が有効です。

 このように、大嵐は後攻時に罠カードと入れ替えるという運用が主となります。

 

環境解説

 先攻後攻格差が改善されました。そうはいっても、特にエクゾディアは圧倒的に先攻が強いため、先攻ゲー自体は続いています。

 もう一つ注目すべき点としては、グッドスタッフミラーでガバ伏せによるハンデスケアのリスクが高まったことです。これまでは無効系が1枚あれば安心でしたが、大嵐まで加わると、ハンデスはケアできてもリソースを軒並み失うという自体になりかねません。

Vol.7環境 遺言状エクゾ最終形態 食らいつくグッドスタッフ

Vol.7 なかなかの豊作パック

 2000年1月27日、Vol.○シリーズの最終弾であるVol.7が発売されました。即戦力となるカードが多数収録されており、環境終盤としてはなかなかの豊作具合です。カードリストはこちら

異次元の戦士

 OCG初の、除外による盤面除去が可能なカードが登場しました。大型モンスターを道連れにすることもできますが、この環境では専らクリッター、ウィッチの処理を担います。クリッター、ウィッチ双方のサーチに対応している点が優秀です。

 エクゾディアは白い泥棒のダイレクトアタックを防ぐためにウィッチをセットすることがままあります。ウィッチを破壊した場合、同名をサーチされてハンデスに外れが生じたり、死者蘇生からのキルや、最悪の場合直接エクゾディアをサーチされて負けてしまうこともあります。異次元の戦士はこれらのリスクを無視できるうえ、クリッター、ウィッチのサイクルを完全に断つことができるため、相手が後から引いた施しやジャマー等を弱体化させることもできます。

 グッドスタッフのミラーでも、白い泥棒を戦闘破壊するためにウィッチが召喚されることはよくあるので、デッキに入れておくと役に立ちます。ただし、除外は強制効果なので、闇雲にセットモンスターに突っ込ませるのは危険です。

ダーク・エルフ

 攻撃に1000ライフを必要としますが、ヂェミナイ・エルフを上回る2000打点を持った下級モンスターです。一見強そうですが、そもそもヂェミナイ・エルフがピン刺しされる環境のため、その打点を活かせる場面は多くありません。とはいえ、わざわざヂェミナイ・エルフを採用するくらいならこちらを優先した方がいいです。また、この環境では基本的に白い泥棒と神の宣告によって1000刻みでライフが動くため、1900と2000の100の差は見た目以上に大きいです。

聖なるバリア-ミラーフォース-

 長期的な視点で見れば、このパック1番の強カードです。ただし、この環境ではそこまで強力ではありません。理由は2つあります。

 1つ目は、このカードがエクゾディアに全く使えない点です。この環境は半分以上のプレイヤーがエクゾディアを使用することが考えられるため、2回に1回完全に腐るカードをメインに入れるのはリスキーです。

 そのため、採用するならサイドデッキとなりますが、グッドスタッフのミラーでもそれほど強いわけではありません。グッドスタッフは白い泥棒がメインアタッカーを務めるため、直接攻撃は1度たりとも通すわけにはいきません。ミラーフォースも1体の白い泥棒に撃たざるをえず、強みである複数体の除去は叶いません。これが2つ目の理由です。

追い剥ぎゴブリン

 対エクゾディア最終兵器です。ミラーでも弱くはありませんが、対エクゾディアと異なりガバ伏せ+ハンドはクリッター、ウィッチのみの状態を作ることでハンデスをケアされるため、過剰にハンデスに寄せることにはリスクが伴います。

サンダー・ドラゴン

 ここまではグッドスタッフの強化でしたが、エクゾディアにも優秀な新規が配られました。このカードの役割は2つあり、どちらも遺言状エクゾにもってこいな内容です。

 1つ目は、純粋なデッキ圧縮です。遺言状によって先攻エクゾディア完成が十分見込めるようになっているため、2枚であってもデッキを圧縮できるのは強力です。

 2つ目は、生贄召喚をすることです。死者蘇生、遺言状と組み合わせることで、サンダー・ドラゴンを召喚した際にモンスターが墓地へ送られたことがトリガーとなり、場にキャノン・ソルジャー+サンダー・ドラゴンが揃います。後は無限射出でエクゾディアを揃えれば勝ちです。同じことをモンスター2体で行う場合、別途モンスターを墓地へ送る手段が必要ですが、こちらではそれが不要です。

 さらに、このカードは黒き森のウィッチからサーチすることも可能です。先攻ワンキルがかなりしやすくなったほか、ワンキルできなくとも、2枚の外れを抱えることで、ハンデスに若干の耐性もつきました。

 

環境解説

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 エクゾディアはデッキのスピードが上昇し、グッドスタッフは相手のリソースを削る手段が増えました。結果として、バランスは以前とあまり変わっていません。

 やはり先攻を取れるかどうか、壺、施し+クリッター、ウィッチを引けるかどうかが勝敗に大きく影響する環境となっています。

EX環境 遺言状を書いた方が勝つ謎ゲーム

EX

 1999年12月16日、EXが発売されました。再録中心ですが、新規カードも含まれています。カードリストはこちら

遺言状

 新規カードの中でずば抜けて強力なのが遺言状です。登場初期は裁定が現在と異なり、発動したターンにモンスターが墓地へ送られる度に、特殊召喚が可能でした。

 とはいっても、単体で見れば、墓地へ送られたモンスターの代わりを特殊召喚できるだけです。弱くはないが特別強いカードというほどではありません。問題は悪用が容易な点です。

クリッター、黒き森のウィッチとのコンボ

 遺言状による特殊召喚はバトルフェイズ中にも行えます。クリッター、ウィッチで相手の攻撃表示モンスターに自爆特攻すれば、サーチを行いつつ、次のクリッター、ウィッチを特殊召喚できます。これを繰り返すことで、エクゾディアが完成してしまいます。そのため、グッドスタッフはエクゾディアに対して、ヂェミナイ・エルフ等を召喚するだけで敗北の裏目が生じるようになりました。

キャノン・ソルジャーとのコンボ

 上記のような自爆特攻できる状態でなくても、キャノン・ソルジャーと組み合わせることで、能動的にループを形成できます。キャノン・ソルジャー自身も遺言状から特殊召喚できるため、遺言状+場に2体のモンスター+墓地へ送る手段が揃い次第、エクゾディアが完成します。そこまで容易ではないものの、手札次第では先攻ワンキルも可能になっています。

 また、エクゾディア以外に、キャノン・ソルジャーのバーンダメージによる勝利も狙うことができます。1体500ダメージなので、8000残っていてもデッキに15体モンスターが残っていれば削り切ることができます。とはいえ、魔法・罠を多く採用したいこの環境では若干難しい条件です。しかし、神の宣告の採用率も高いため、残り4000を8体射出して削り切ることは十分現実的です。主にエクゾディアがパーツをハンデスされてしまった際に、こちらのプランで勝利を目指します。

 

デッキ・環境解説

 遺言状の追加により大きく強化されたエクゾディアですが、グッドスタッフが全く勝てなくなったかというとそうでもありません。遺言状は状況が整えば一気に試合を決める切り札ではあるものの、強欲な壺や天使の施しのように初動にはなりません。そのため、カウンター罠は依然として有効であり、先攻ゲー&壺施しゲーなのは変わっていません。

サンプル エクゾディア

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 グッドスタッフに寄せたエクゾディアのサンプルレシピです。

 遺言状によってまとめてエクゾディアパーツを回収できるようになったため、全て1枚ずつに削減し、事故を減らしています。代わりに白い泥棒、メタモルポットには弱くなっています。

 戦略はハンデスを防ぎつつ、手札が揃い次第遺言状コンボでエクゾディアを揃えることです。作業ゲーの様相が強く、初期の頃のエクゾディアと比べてプレイングが関与する余地が少ないです。

 

環境の感想

 追加された要素が一方的なワンキルのため、環境の面白さは間違いなく低下しています。

 一方で、グッドスタッフVSエクゾディアというメタゲーム自体は機能しているため、デッキ構築の楽しみは残されていると思いました。

Booster6環境 デビル・フランケン

Booster6 融合強化

 1999年12月1日にBooster6が発売されました。融合召喚に関するカードが多く採用されているのが特徴です。カードリストはこちら

 これまでにも融合モンスターは多数登場していますが、実用性は皆無といってもいい状態でした。

 まず、融合召喚をするためには融合と素材モンスター2体の、合計3枚のカードが必要で、そもそもこれを手札・フィールドに揃えることが大変です。そして、揃ったとしても3枚を使って1枚のモンスターを出すために、融合召喚した時点で-2のディスアドバンテージを抱えることになります。さらに、出てくる融合モンスターはそのディスアドバンテージを解消できるのかというとそんなことはなく、この時点では効果を持つ融合モンスターはいないため、ただ打点が高いだけです。

 以上のような複数の問題点から、融合デッキは強い弱い以前に戦えないといった状態でした。

 Booster6では融合をサーチするカードや、素材の代わりとなるモンスターが収録されており、融合召喚をすること自体は大幅にハードルが下がりました。

 一方、融合召喚自体の消費の激しさ、融合モンスターの弱さは改善しておらず、ゲームにならないところからファンデッキ程度には成長した、というレベルに落ち着いています。

デビル・フランケン 突然の3200打点

 そうした実用性に乏しいカードの中、唯一即戦力となり得るのがデビル・フランケンです。

 この時点ではブラック・デーモンズ・ドラゴンが最も攻撃力の高い融合モンスターとなっており、フランケンは実質即席の3200打点を生み出すモンスターといえます。

 強みはなんといっても打点生成のスピードで、フランケンとブラックデーモンズで3900と4000には100足りないものの、あと一押しできれば神の宣告発動後のライフを削り切ることができます。

 一方、デメリットはライフコストの多さであり、神の宣告を発動した後では効果を使うことができなくなります。この環境では神の宣告は非常に重要かつ、温存が難しいため、フランケンを優先することは困難です。

 そのため、デビル・フランケンはヂェミナイ・エルフと同様、グッドスタッフがクリッター、ウィッチのサーチ先として1枚採用しておくタイプのカードとなっています。

隠れた優良カード ドッペルゲンガー

 単体で2枚の魔法・罠を破壊できるなかなかに強いカードです。将来的はサイドカードとして声がかかりますが、羽根帚無制限のこの時代にはストレージを温めることしかできませんでした。

 

環境はほぼ変化無し

 派手な効果をしたデビル・フランケンですが、グッドスタッフがビートダウンよりもハンデスに重きを置いているために、見た目ほど活躍することはできませんでした。

 環境はほとんど変わらず、グッドスタッフとエクゾディアが壮絶な戦いを繰り広げています。次のカード追加で環境はどうなるのでしょうか...

Vol.6環境 激化するグッドスタッフvsエクゾディア

Vol.6 発売 グッドスタッフ、エクゾディア双方に大きな影響

 グッドスタッフ優勢な状態が続く中、1999年11月18日に、Vol.6が発売されました。カードリストはこちら

環境激動 クリッター、黒き森のウィッチ

 汎用性が高く、長い間活躍している有名なカードですが、このパックで登場しています。

 恐ろしいことに、当初は一切の制約がなく、どこから墓地へ送られても誘発する効果となっていました。そのため、天使の施しと組み合わせて使うことで手軽に+1アド、2アドを稼ぐことが可能となり、環境は大幅にインフレしています。

 また、それぞれがクリッターとウィッチ自体をサーチできることも重要で、計6回まで手札コストを踏み倒すことができるようになりました。これにより、以前では採用が難しかった死者への供物といったカードにスポットライトが当たっています。

 グッドスタッフでは上記手札コスト踏み倒しに用いる他、白い泥棒や聖なる魔術師を状況によってサーチできます。また、サーチの特性上1枚でもデッキに入っていれば持ってくることができるため、シルバーバレット戦術を取ることが可能となり、構築の戦略性が高まりました。

 エクゾディアではコスト踏み倒しの他、直接エクゾディアパーツをサーチすることが可能になり、パーツ回収スピードが大幅に上がりました。死者蘇生をパーツに変換できるようになったことも高速化に拍車をかけています。

神の宣告

 こちらも長期に渡り活躍しているカードです。ライフ半分のコストは重いですが、この環境にはマストカウンターとなるカードが多いわりに有効な罠は少ないため、グッドスタッフでは必須と考えています。

マジック・ジャマー

 クリッター、ウィッチのおかげで採用できるカードです。この環境では無効にしたいカードは魔法カードが最も多いため、クリッター、ウィッチを引けてさえいれば、神の宣告よりも優秀な場面が多いです。

 ハーピィの羽根帚をケアしやすくなった点も重要で、グッドスタッフのミラーで白い泥棒をケアするために、手札を可能な限り伏せるプレイを選択しやすくなっています。これにはモンスターの枠がクリッター、ウィッチに置き換わったことも影響しています。

盗賊の七つ道具

 汎用性の高いカードですが、この環境ではカウンターをカウンターするためのカードでしかなく、優先度は低いです。

 

Vol.6 最強デッキ該当無し 解説

 これまでは各環境で最強の40枚を公開してきました。この環境でも同様のことをしようとしましたが、最強デッキは存在しないという結論に達しました。理由は、ここにきて初めて、メタゲームが機能しだしたからです。

 具体的にいうと、グッドスタッフ同士、エクゾディア同士で調整した場合、ミラー最強のグッドスタッフ、エクゾディアが完成します。これまでは、この内どちらかが、ミラーでも最強だし、ミラーではない方のデッキが、こちらに対策を寄せた構築をしてきてもなお有利だったため、最強デッキという概念が存在しました。

 しかし、今回の環境ではグッドスタッフとエクゾディアにそこまで大きな実力差がなく、デッキをグッドスタッフとエクゾディアのどちらにどれくらい寄せているかが勝敗に大きく影響する状態が成立しています。こうなると、どうあっても最強のデッキというものは存在しません。

 そのため、今後こうした環境では、それぞれのアーキタイプにどういった選択肢があるのかを紹介していくことにします。

グッドスタッフ ミラー意識サンプル

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ヂェミナイ・エルフピン刺し

 ミラーマッチはライフを削り合うというよりも、白い泥棒によるハンデスを狙い合うゲームとなっています。また、クリッター、ウィッチでも白い泥棒は戦闘破壊できるため、ヂェミナイ・エルフの役割は専ら残りライフを押し込むこととなります。

 大抵は神の宣告によって4000を下回ったライフに対して、死者蘇生を合わせて1000+1100+1900=4000のバーストダメージを出す為に使います。

 1枚採用していれば確実に勝ちにできる場面が散見されたため、ピン刺しでの採用となっています。

死者への手向け

 クリッター、ウィッチのおかげで採用できるようになったカードです。白い泥棒の攻撃を通す際、場をこじ開けるために使います。

神の宣告、マジック・ジャマー

 ミラーマッチでは強欲な壺や天使の施し+クリッター、ウィッチによってアドバンテージ差をつけられることが敗北に直結するため、両方3積みしています。また、これらの罠が採用されだした関係でハーピィの羽根帚の価値も上がっています。

グッドスタッフ エクゾディア意識サンプル

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メタモルポット3積み

 グッドスタッフはエクゾディア側のライフを削り切るよりも、エクゾディアの完成を不可能にする方が容易です。そのため、白い泥棒のハンデスと合わせてメタモルポットを使い、エクゾディアパーツのどれか一つを全て墓地へ送ることを目指します。

エクゾディア ミラー意識サンプル

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自爆用 死者への手向け

 エクゾディアのミラーマッチでは、場に出したクリッター、ウィッチが相手によって墓地へ送られることはありません。そのため、能動的に破壊することができる手向けが役に立ちます。

エクゾディア グッドスタッフ意識サンプル

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エクゾディアパーツ2積み

 ミラーマッチではとにかくパーツを揃えることが重要なため、パーツは全て3積みしていました。しかし、天使の施しでクリッター、ウィッチを捨てたい関係上、以前ほどダブつきを寛容できなくなっています。そのため、防御を意識する必要があるグッドスタッフに対しては、枚数を削減しています。

リバースモンスター大幅削減

 グッドスタッフには心変わりや死者への手向けといったリバースモンスターの解答が標準搭載されているため、リバースモンスターの効果を通すのは容易ではありません。そのため、リソースをリバースモンスターではなく他に回すことで、損失を防いでいます。

サンダー・ボルトよりもブラック・ホール

 ミラーマッチの項で触れたように、自分のモンスターを破壊できることをメリットと捉えて優先しています。

 反対に、ミラーを意識した際にブラック・ホールが入らないのは、相手のモンスターを破壊してしまうのがデメリットとなるからです。

ハーピィの羽根帚

 強欲な壺、天使の施しをカウンターされるのが辛いため、グッドスタッフに寄せるほど羽根帚の枚数は増えていきます。

 

環境解説

 最も大きな変更点として、いずれのデッキにおいても、先攻を選択するようになっています。

 公式ルール、エキスパートルール共に先攻はドローがないため、先に1枚多く使える後攻を選択するのが定石でした。

 しかし、この環境では強欲な壺に加えて天使の施し+クリッター、ウィッチのコンボが登場したことで、先攻の不利を簡単に覆すことが可能となっています。

 さらに、カウンタートラップも先攻で伏せておくのが最も強く、相手の壺、施しを止められる見込みがある点でも先攻が優れています。

 実際の環境としては、例えば特定の大会が開催されることを想定した場合、どちらのデッキを使うにしても、各々がグッドスタッフとエクゾディアどちらにどれくらい寄せるかを選択し、その日のデッキ分布に適した割合の構築のプレイヤーが勝ちやすくなるといったものとなるでしょう。

 数ヶ月の単位をかけ、多くの競技的プレイヤーによって調整が成されれば、どちらがデッキとして強いかがわかるかもしれませんが、そこまで大きな差があるようには思えませんでした。結局のところ、どちらのデッキを使うにしても、強欲な壺と天使の施しをどれくらい通せたかが重要です。

 

環境の感想

 初のメタゲームが機能した環境ということで、これまでにないデッキ構築の楽しみがあります。試合以前の段階、即ちメタの予測からデッキの考案までで見れば、過去最高の環境だといえるでしょう。

 一方で、ゲームの中身自体はあまり健全ではなく、先攻をとられて壺施し連打からの宣告ジャマーセットをされる等、実質ゲームが成立していないようなこともあります。

 総評としては、クリッターとウィッチによって環境が破壊されてしまったという印象を受けました。

Booster 5環境 一発逆転?メタモルポット

Booster 5 デッキ破壊という概念の誕生

 1999年10月17日、Booster 5が発売されました。これまでにない、相手のデッキを削る効果を持ったモンスターが特徴的です。カードリストはこちら

構築不可能 デッキ破壊

 このブースターには、ニードルワームとメタモルポットといった、1アクションで相手のデッキ枚数を大きく減らすカードが登場しています。理論上、デッキ破壊デッキを組むことが可能になったわけですが、現実的には不可能でした。

 というのも、この時代で採用されていたエキスパートルールでは、どちらかのデッキが0枚になった場合、その時点でライフの多い方が勝者となるからです。

 このルールのせいでデッキ破壊側は相手のデッキを枯らしたところでライフで勝てているわけもなく、かといってライフを削るならグッドスタッフの方がいい、と存在意義を見出せない状態でした。

単体で強い メタモルポット

 とはいえ、メタモルポットに関しては単体で強いです。手札を全て捨てるというデメリットはあるものの、捨てなくても済むタイミングで使用することによって、実質5ドローの効果として使用することができます。魔法罠に関しては伏せてしまえば問題ありませんし、モンスターのダブつきも天使の施しで調整することができます。

 ただし、相手にも5枚引かせてしまうため、積極的に使うというよりは、自分が不利な場合に逆転に賭けて使うことが多いです。

 グッドスタッフのミラーは白い泥棒をいかに通すかのゲームになっているため、通常一度押し切られてしまうと加速的に不利になりますが、メタモルポットがあれば逆転できるかもしれません。

 

Booster 5環境 最強デッキ解説

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メタモルポット

 仮面魔道士をメタモルポットに変更しています。仮面魔道士も弱くはないのですが、効果を使えても返しで白い泥棒に戦闘破壊されつつ効果を使用されるのが弱点でした。

 ただし、メタモルポットも派手さのわりに手放しで強いかといわれるとそうでもありません。このカードは巻き返し用で、自分が有利な時は天使の施しで捨ててしまいます。

 では不利な状況ではしっかりと逆転できるのかというと、そこまで簡単ではありません。この環境で不利な状況というのは、相手の白い泥棒によって手札を刈られ、返せなくなりつつある状況です。ここでメタモルポットを伏せると、確かに一旦アドバンテージの差は縮まります。しかし、相手はメタモルポットで引いた5枚をハンデスしにくるため、結局そのターンの終わりには相手のハンドは5枚プラスされたのに、自分は3枚しかない、といった状態になりがちです。

 また、天使の施しによってメタモルポットのデメリットを軽減できるというのは相手にも当てはまる話であり、結局メタモルポット単体で逆転できることはそれほど多くありません。勿論、仮面魔道士よりは強いのですが...。

ハーピィの羽根帚増量

 この環境では白い泥棒を落とし穴や鎖付きブーメランで止める光景がよく見られます。なので、それを破壊できる羽根帚は元々弱いカードではありません。しかし、肝心の罠カードが4枚しか採用されないため、羽根帚は1枚の採用でした。

 一転して、今環境ではメタモルポットの登場により、これをケアするために手札の魔法罠をとりあえず伏せることが増え、羽根帚の打ちどころも増加しました。そのため、枚数を増やしています。

デーモンの召喚削減

 羽根帚の代わりにデーモンの召喚を減らしています。デーモンの召喚は心変わりで奪ったモンスターを生け贄にして召喚するのが強力です。しかし、手札で腐りやすいためメタモルポットのデメリットを受けやすくなること、死者蘇生の使い先が白い泥棒に向かったことから、削減することにしました。

 

環境の感想

 不安定ではあるものの、逆転用カードの追加により、前環境よりも面白い環境になったと思います。