遊戯王歴史探究 歴代の最強デッキを考える

遊戯王OCGの歴代の環境を実際にプレイし、その時点での最強デッキを考えていきます

第2期開幕 ルール・制限・裁定の大幅改訂

第2期始動

 2000年4月1日より、遊戯王OCGは第2期へと移行しました。

 カードデザインがわかりやすくなった他、ルールが大幅に変更され、同時に制限改訂と、クリッター、黒き森のウィッチの裁定変更が行われました。

 

 

 

新エキスパートルール

 これまで使用されてきたエキスパートルールから、新エキスパートルールへ改訂されました。

 重要な変更点について解説していきます。

 

 

デッキ切れしたら負け

 エキスパートルールではどちらかのプレイヤーがデッキ切れ(ドローしなければいけないのにできない状態)になった場合、その時点でライフの多いプレイヤーの勝利となっていました。

 新エキスパートルールでは、デッキ切れした方がその時点で敗北となります。

 この変更により、デッキ破壊デッキを組むことが現実的になりました。

 

 

手札上限枚数の設定

 エキスパートルールでは手札に上限枚数はありませんでした。

 新エキスパートルールでは、自分のターンのエンドフェイズに手札が7枚以上ある場合、6枚になるまでカードを捨てる必要があります。

 一方のプレイヤーが爆発的なアドバンテージを稼ぐことへの抑止力となります。

 ただし、増えたアドバンテージを場に出せば解決してしまうため、そこまで影響はありません。

 

 

サイドデッキの枚数増加

 エキスパートルールではサイドデッキは10枚まででしたが、新エキスパートルールでは15枚までになります。

 第1期はグッドスタッフとエクゾディアの2種類しかデッキタイプがなかったため10枚で十分でしたが、今後環境が多様化することを考えれば、この変更は重要です。

 

 

先攻ドロー有り

 エキスパートルールでは先攻プレイヤーにドローはありませんでしたが、新エキスパートルールではありになります。

 先攻は攻撃できないため、先攻ドローがなければ、モンスターや罠を先に置けることしか強みがありません。

 それだけで考えれば、先攻ドローはありにしてもいいでしょう。

 しかし、既に第1期がそうであったように、メインフェイズの段階で能動的にアドバンテージを増やす手段(強欲な壺、天使の施し)と有効な妨害手段(神の宣告、マジック・ジャマー)がある場合、プレイヤーは先攻ドローがなくても先攻を選びます。

 そのため、この変更は相当に思い切ったもので、実際、再び先攻ドローが廃止されるまで、じゃんけんに勝って後攻を選ぶことはほとんどあり得ない状態となります。

 

 

1勝2分けでも勝利

 エキスパートルールでは1勝2分けの場合、そのマッチは引き分け扱いでしたが、新エキスパートルールでは1勝したプレイヤーの勝利となります。

 直感的にも論理的にも1勝2分けで引き分けになるのは理解し難く、妥当な改訂だと思います。

 

 

チェーン・スペルスピードの導入

 今となっては遊戯王の根幹を成す重要なルールですが、エキスパートルールではこの概念がありませんでした。

 もっとも、第1期は単純な効果のカードが多く、そうした概念がなくても困ることはほとんどありませんでした(白い泥棒+追い剥ぎゴブリンでチェーンを組めれば、相手のクリッター、ウィッチを落とし続けるという不運を避けられる、等はありましたが...)。

 第2期からはこのルールのおかげでより複雑なデザインのカードがデザインできるようになり、ゲームに深みをもたらしています。

 また、優先権やタイミングを逃す、逃さないのルールもこれに付随する形で導入されています。

 

 

 

制限改訂

 今回の改訂から、準制限カードという枠組みが設けられました。

 

 

制限カード

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エクゾディアパーツ

 封印されしエクゾディアのパーツが全て制限となりました。

 最終的には全て1枚ずつの構築が主流でしたが、今回の改訂で遺言状も制限になっているため、パーツに対する規制も意味があると思います。

 

強欲な壺

 極めて理不尽なカードであるため、禁止にしてもよかったと思います。

 枚数が減ったことでゲーム中に発動される回数は減ったものの、逆にいえば安定してこのカードを引けなくなったため、相手に一方的に使われた際の強さが際立つことになります。

 

心変わり

 このカードが存在するだけでリバースモンスターの評価が大きく落ちていたため、妥当な規制だと思います。

 

遺言状

 汎用性が高すぎるため、今後のカードデザインを考えても妥当な規制だと思います。

 

聖なるバリア-ミラーフォース-

 グッドスタッフのミラーを見越したのでしょうが、わざわざ制限にするほどかというと疑問です。

 

 

準制限カード

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死者蘇生

 白い泥棒を蘇生したり、エクゾディアの展開にも使われたりと、非常に汎用性の高いカードです。

 ケアが困難で、ワンキル、ないしゲームエンドに直結しやすいカードとなっています。個人的には制限でもよかったと思います。

 

天使の施し

 後述するクリッター、ウィッチの裁定変更により、壊れカードではなくなりました。

 それでも無条件で手札を3枚入れ替えられるのは強力なので、準制限は妥当でしょう。

 

ハーピィの羽根帚

 このカードが蔓延っている環境では罠カードの評価が軒並み下がってしまうため、規制は妥当です。

 とはいえ、まだ大嵐も3枚残っているため、気休め程度ですが...

 

 

制限解除

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落とし穴

 そもそも制限になる必要がなかったカードだと思います。

 

 

 

クリッター、黒き森のウィッチ裁定変更

 これまではどこから墓地へ送られても誘発しましたが、フィールドから墓地へ送られた場合のみの裁定となりました。

 後にテキストも書き換えられているため、裁定変更というよりは事実上のエラッタといえるでしょう。

 第1期はグッドスタッフ、エクゾディア共にクリッター、ウィッチを基盤に据えていたため、この変更は環境に非常に大きな影響を与えています。

 具体的には、天使の施しによるアドバンテージ獲得ができなくなったり、マジック・ジャマー等の手札コストが必要なカードの採用が厳しくなったりです。

 

 

 

2000/4/1改訂 最強デッキ解説

 上述した制限改訂と裁定変更により、グッドスタッフ、エクゾディア共に弱体化しました。

 そうした状況の中、第2期最初の最強の座についたのはグッドスタッフでした。

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白い泥棒、仮面魔道士

 デッキのメインコンセプトです。

 これらの攻撃を通すことでアドバンテージを増やすことを狙います。

 処理されなければ毎ターン効果を使えるため、低ステータスながら強力なアタッカーです。

 

クリッター、黒き森のウィッチ

 召喚権が必要になったとはいえ、アドバンテージを失わずに場に出せるのは変わらず強いです。

 モンスターの枚数を抑えることを可能にし、事故の軽減に役立っています。

 

地雷蜘蛛

 役割は、守備表示の黒き森のウィッチ、仮面魔道士を踏み倒すことです。

 ウィッチを横で出されただけで戦況が固まってしまうため、アタッカー役は必須となります。

 アタッカー役として最も使い回しがいいのはヂェミナイ・エルフなのですが、

ヂェミナイエルフで黒き森のウィッチを倒す

ウィッチで地雷蜘蛛(ダーク・エルフ)をサーチされる

そのまま返しで戦闘破壊され、相手の場には高打点モンスターが残る

という状況が頻発するため、仕方なく地雷蜘蛛を優先しています。

 地雷蜘蛛ですが、50%の確率で普通に攻撃できるため、意外とリスクが気にならない試合も多いです。

 一方、神の宣告と合わせてライフを使いすぎてしまい、死者蘇生を無理矢理通されて負けてしまうというケースもありました。

 

人喰い虫

 自分のクリッター、ウィッチが相手の地雷蜘蛛(アタッカー)に倒された際、返しで罠を用意できない場合にサーチします。

 人喰い虫ではなく、地雷蜘蛛をサーチして相打ちさせれば、盤面上は解決します。

 しかし、その場合後続の白い泥棒、仮面魔道士が通ってしまいます。

 人喰い虫であれば、攻撃を1回受け止めつつ、後続のモンスターを破壊することで、1枚で2回分の攻撃に対処することができます。

 そのため採用されているのですが、使用場面が限定されているため、ピン刺しにしています。

 

キャノン・ソルジャー

 遺言状とのコンボ用です。

 ループによって4000〜5000程のバーンダメージを与え、後は総攻撃してメイン2に自身も含めて射出してワンショット、という使い方が基本です。

 他にも、クリッター、ウィッチを射出して爆発的なアドバンテージを稼ぐなど、状況によって使い分けができます。

 このカードがあると遺言状のパワーが桁違いにあがるため、1枚は採用するべきです。

 一応、心変わりで奪ったモンスターを射出してしまうなんて使い方もあります。

 

サイドデッキ

 後述する、エクゾディアやデッキ破壊相手の入れ替え用です。

 ヂェミナイ・エルフは地雷蜘蛛と交換します。

 メタモルポットはエクゾディア用です。

 なくても不利ではないのですが、勝ちを確実にするために用意しています。

 省いていますが、地割れやミラーフォース、落とし穴の入れ替え先もあるとなお良いです。

 

 

 

最強ではないが、意外と戦えるデッキ達

 サイドデッキまで含めるとグッドスタッフが最強ですが、シングル戦ならいい勝負をするデッキもあります。

 

エクゾディア

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 1つ目は、厳しい規制を受けたエクゾディアです。

 全盛期と比べて大幅に弱体化しているのは間違いありませんが、長い時間をかけて着実にパーツを回収するスタイルに転換することで、デッキとしては十分成立しています。

 メイン戦はグッドスタッフにもいい勝負をするのですが、サイドからメタモルポットを入れられるとまず勝てないのが課題です(全盛期と違って経過ターンが長いため、メタモルポットを通される隙が多い)。

 

デッキ破壊

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 2つ目は、ルール改訂により作成できるようになったデッキ破壊です。

 防御に重きを置いている点ではエクゾディアと似ていますが、最大の違いはメタモルポットによる大量のドローです。

 相手に引かせる5枚はデッキ破壊としつつ、自分は簡単にリソースを全快できるため、エクゾディアに比べて延命も容易になっています。

 さらに、リソースが豊富なためマジック・ジャマーを3積みできる点も重要で、負け筋になる羽根帚や大嵐、サンダー・ボルト、ブラック・ホールをケアすることができます。

 デッキパワーだけで見てもエクゾディアよりは強く感じますし、エクゾディアに対しても非常に有利なため、グッドスタッフ以外を使うとすればこちらがいいでしょう。

 問題はやはりサイドチェンジ後で、グッドスタッフ側が不要牌を入れ替えてくる一方、こちらはこれ以上グッドスタッフに寄せるのは困難なため、どうしても差がでてしまいます。

 今後はサイバーポッドが登場しますが、この時点ではニードルワームとメタモルポットの6枚体制のため、メインの段階でグッドスタッフに有利がつくほどのパワーがないのも課題でしょう。

 

 

 

環境解説&感想

 強欲な壺の規制と、クリッター、ウィッチの裁定変更により、先攻ゲーが解消されました。

 また、遺言状エクゾのような極めて理不尽なデッキもいなくなり、全体的にゲーム性がよくなっています。

 グッドスタッフ同士の対戦も、手軽にアドバンテージを稼げなくなった分プレイングが重要になっており、プレイしていてとても楽しいです。

 デッキタイプも拡がりを見せていて、個人的には、ここまでプレイしてきた環境で1番好きかもしれません。