遊戯王歴史探究 歴代の最強デッキを考える

遊戯王OCGの歴代の環境を実際にプレイし、その時点での最強デッキを考えていきます

Booster 2環境 打点ラインの向上

Booster 2登場

 1999年5月25日、Booster 2が発売されました。内容は悪くないものの、環境に起きた変化は打点ラインの向上のみのため、今回は軽くデッキリストを紹介して終わりにしたいと思います。カードリストはこちら

 

Booster 2環境 最強デッキ解説

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ホーリー・ドール/吸血ノミ

 ホーリー・ドールの登場によって、下級最高打点が更新されました。また、1500ラインにも吸血ノミが追加されています。

覚醒

 本ブースターに収録されている装備魔法シリーズの地属性バージョンです。

 光属性バージョンであるエルフの光も候補となりますが、ホーリー・ドールは攻撃力が+400されても守備2000のラインを越えられません。そのため、ホーリー・ドール同士、もしくは緑樹の霊王との戦闘で有効となります。(1500ラインには元々勝てるため、あまり意味がありません。)

 一方、覚醒は守備2000以外の全ての戦闘で役に立ちます。加えて、装備可能な対象も2種類用意されているため、こちらが優先されています。

 

環境の感想

 環境に攻撃用のモンスターが増えたことで、流動性が改善しました。依然としてバランスは良くないものの、前環境よりは面白いといえます。

エキスパートルール導入 さらば青眼

エキスパートルール導入

 1999年の5月頃に、これまで使ってきた公式ルールとは別に、エキスパートルールという新しいルールが導入されました。(公式ルールが廃止になったわけではなく、並行して存在しました。)

 本探究ではどちらを採用するかについてですが、公式ルールから競技性を高めたのがエキスパートルールであり、公式大会でもこちらが主流だったとのことから、この時点からエキスパートルールに従うこととします。

公式ルールからの変更点

 公式ルールとエキスパートルールには、いくつか違いがありますが、特に2つの重要な変更点があります。

レベル5以上のモンスターは生け贄召喚しなくてはならない。

 最も大きな変更点が、生け贄召喚という概念の登場です。これまでの環境は、上級モンスターも生け贄無しで召喚できたため、下級モンスターの価値は低く、枠が余るから入れている、といった状態でした。

 製作側もこうした環境はよくないと考えたのでしょう。そこで編み出されたのが、生け贄召喚というルールです。

 これは現在まで続いているルールなので皆さんご存知かとは思いますが、レベル5・6のモンスターは1体、レベル7以上のモンスターは2体のモンスターを、召喚に際し生け贄に捧げなければいけなくなりました。

 この変更により、上級モンスターの召喚にはカード、及びテンポアドバンテージの喪失が伴うようになりました。

魔法・罠カードを1ターンに何枚でも使用可能。

 公式ルールでは魔法・罠カードは1ターンに1枚までしか場に出せませんでした。

 おそらく、1ターンに複数枚の魔法・罠を発動できるようにしておいた方が、戦略性が広がるという判断だったのでしょう。

 この変更により、とりあえず魔法・罠はセットしておく、というプレイは無くなりました。

 

最強デッキ解説

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戦場の主役は上級から下級に

 生け贄ルールの導入により、上級モンスターを採用するのは現実的とはいえなくなりました。

 レベル7以上のモンスターは守備2000の壁を越えることができますが、大抵戦闘破壊できるのは1回であり、2体の生け贄は割に合いません。

 カース・オブ・ドラゴンは生け贄が1体ですが、2000の壁を越えられないため、こちらも採用意義が弱いです。

 また、死者蘇生が3積みされる環境のため、自分が苦労して召喚した大型を、いい様に利用されてしまう危険性もあります。

 こられの理由から、上級モンスターは一切採用していません。

 その代わりに下級モンスターが投入されています。採用基準は純粋にステータスの大きさ順です。

 

環境解説

 リストを見るとわかりますが、モンスターの性能が守備に大きく寄っており、ゲームの大半で膠着状態が続きます。

 基本的なゲームの流れは、除去で相手の場をこじ開ける→モンスターで攻撃(→護封剣を引けている場合、壁モンスターも攻撃に参加させ、メイン2に護封剣を発動)となります。

 また、高打点を有していた上級が消えたことで、ゲームスピードが遅くなりました。そのため、ゲーム中に引けるカードの枚数が増え、前環境に比べると運ゲー感は低下されています。

 とはいっても相変わらずデッキ内のカードパワーの差が激しい問題は解決しておらず、あまり戦略性のある環境とはいえません。

 

環境の感想

 ゲームバランスは若干改善したものの、あまり面白くない環境だと感じました。

 戦略性とは別に、ゲームの進展があまりにも地味なので、プレイしていて爽快感を感じられない点も好きになれない要因の1つでした。

Vol.2環境 加速する運ゲー

Vol.2発売

 1999年3月27日、ブースターパックの続編として、Vol.2が発売されました。大型で殴り合う環境が続きますが、このパックが環境に与えた影響は大きいです。カードリストはこちら

 重要な新カードは全てデッキに採用されるため、このままデッキ解説に移ります。

 

Vol.2環境 最強デッキ解説

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ホーリー・エルフ/ハープの精

 アクア・マドールに続き、守備力2000のモンスターが2種類登場しました。

 これにより、これまで攻撃の一端を担っていた下級モンスター達は、完全に居場所を失うことになりました。

カース・オブ・ドラゴン

 暗黒騎士ガイアに続くアタッカーです。

 しかし、守備力2000のモンスターが9枚採用されている環境のため、そこまで強くありません。

死者蘇生

 わかりやすく強力なカードです。

 蘇生対象は自由に選べるため、実質デッキに青眼やブラック・マジシャンを積み増ししていることになり、ゲームスピードは高速化しました。

 このカードの特に強力な点は、召喚権を使わずにモンスターを展開できることです。この特性により、これまではできなかった、盤面が空の状況から1ターンで多量のダメージを与える戦略をとることができるようになりました。

 また、相手の墓地も利用できるため、安易に大型モンスターを繰り出すことにはリスクが伴うようになりました。

光の護封剣

 死者蘇生と同等か、それ以上に環境に影響を与えたカードです。

 そもそも、このカードが何故採用されているかから説明します。というのも、護封剣は普通に使っただけでは3ターンを耐えられるとはいえ、アドバンテージの面ではカードを1枚失うだけだからです。

 護封剣が採用されている理由には消極的理由と積極的理由の2つがあります。

 消極的な理由とは、単純に護封剣よりも優先したいカードが存在しないということです。代わりを入れる場合、守備力2000に勝ち目のない、つまり一方的に倒されるだけのモンスターか、腐る可能性の高い装備魔法が候補となります。これらはどちらも結局アドバンテージを失うだけになる可能性が高いので、それなら護封剣を使おうという結論に至ります。

 積極的な理由は、この環境では護封剣の3ターン耐える効果がそれなりに有効だということです。罠が落とし穴3枚しか存在しないため、防御が不十分なだけではなく、死者蘇生にいたっては止めることができません。その点、護封剣は確実に3ターンを得ることができます。そして、この環境には全体除去が6枚存在するため、耐えている間、相手がどんどんモンスターを並べてきたとしても、返すことが可能なのです。

 

環境解説

 モンスターの基本ラインが守備力によって構成されたことで、ゲーム性は大きく変わりました。

 仮に2000ラインが攻撃力によって成された場合、ゲームは攻撃力2000のモンスター同士の相打ちが頻発することになります。この場合、フィールドは空き続けるので、後続の攻撃力2000のモンスターに役割が無くなることはありません。

 一方、これが守備力2000のモンスターの場合、お互いに守備表示のまま睨み合うことになります。フィールドにはモンスターが残り続けるため、後続の守備力2000のモンスターはセットするだけ特に意味がなく、むしろ全体除去に巻き込まれるリスクがあるため手札に抱えていた方が安全です。

 つまり、複数枚壁モンスターを引いてしまった場合、2枚目以降はあまり価値の無いカード、ということになります。

 これが何を意味するかというと、これまで以上に有効牌を引けるかどうかが重要なゲーム、つまり運ゲー環境になってしまったということです。 特に光の護封剣とサンダー・ボルトは引けているかどうかが大きく勝敗に影響し、揃って持てた場合はかなりの確率で勝てます。

 また、死者蘇生によるワンショットキルの存在も運ゲーに拍車をかけています。

 

プレイング解説

光の護封剣後打ち

 この環境では護封剣を発動されると、攻撃もできず、全体除去の存在から安易にモンスターを並べることもできないため、ほぼ完全に身動きを封じられます。また、発動した側はその間全体除去を温存することが可能です。

 そのため、護封剣をいつ発動するかは非常に重要なポイントとなります。基本的には、できる限り相手の護封剣よりも後に発動した方が有利です。2枚目3枚目を引けていれば、さらにお返しで発動でき、非常に強力です。

死者蘇生貯め込み

 除去と護封剣により、大型モンスターが2ターン連続で攻撃できることは減りました。そのため、相手のモンスターを倒すために死者蘇生を使うのは、勿体ないということになります。

 そうではなく、全体除去を使うなどして、ダイレクトアタッカーが可能な状況まで温存しておき、確実に大ダメージを与えるために使うのが有効です。公式ルールでは1ターンに1枚しか魔法・罠を場に出せないため、正確には死者蘇生をあらかじめセットしておき、後でまとめて発動するという流れになります。

 

環境の感想

 前述した通り、引けるかどうかの運要素が重要な環境のため、あまり面白くありませんでした。

 特に護封剣返しに対する2枚目の護封剣発動や、護封剣→サンダー・ボルトの流れはくだらないといっても過言ではありませんでした。

STARTER BOX環境 青眼とサンダーボルトの登場

前書き① 女剣士カナンの登場

 1999年2月21日、ゲームボーイソフト「遊戯王デュエルモンスターズ」の全国大会が開催され、入場者特典として女剣士カナンが配布されました。配布数は僅か400枚であり、これをカードプールに存在するものとして扱うかどうか、迷いました。結論としては、OCGのカードとして使用可能である以上、存在するものとします。

 前回のデッキリストをご覧になった方はわかると思いますが、この時点では、女剣士カナンは相当に優秀なカードです。攻守共に基準となる1200を上回っており、さらに戦士族なので、伝説の剣の装備対象にもなります。そのため、カナンは3積み確定であり、これを反映したデッキリストがこちらです。

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 カナンと交代する形で、紫炎の影武者とダーク・グレイ2枚が抜けています。眠り子が最優先されているのは、装備魔法の中で秘術の書の価値が最も低いからです(眠り子を除くと、ブラック・マジシャン同士の戦闘でしか有効でない)。

 

前書き② Booster 1 最低打点向上

 1999年3月1日、Booster 1が発売されました。カードリストはこちら

 なんとも渋い内容ですが、ガーゴイル、エレキッズと、攻撃力1000のモンスターが2種収録されているため、打点の最低ラインは底上げされました。この2枚は装備魔法の対象にはなりませんが、一方的に800族を倒せるため、流石にこちらが優先されます。また、どちらも装備魔法の対象とならず、守備力も同じであるため、この時点ではこの2枚にカードとしての違いが事実上存在しません。

 Booster 1を反映すると、デッキはこうなります。

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STARTER BOX 環境激動

 女剣士カナンとBooster 1の登場では、打点ラインが更新されるだけで、環境自体はほとんど変化はありませんでした。

 しかし、1999年3月18日、STARTER BOXの登場により、環境は大きく変化することになります。カードリストはこちら。また、劇場限定版は一部収録内容が異なり、予約特典としてエルフの剣士が配布されました。

最強モンスター 青眼の白龍

 これまで最強モンスターの座はブラック・マジシャンの2500打点が抑えていましたが、早くも陥落することになりました。

 青眼の白龍は脅威の攻撃力3000を有しているうえに、守備力も2500と、打点2位のブラック・マジシャンですら超えられない硬さも備えています。戦闘においては青眼は青眼でしか倒せない、まさしく最強モンスターとして環境に君臨したのです。

 青眼の登場は最高打点の更新だけでなく、環境の高速化をもたらしました。大型モンスターが9枚積めるようになったため、ライフを削る、削られるスピードが速くなりました。2500と3000というのは見た目以上に差があり、2500打点では仮に3回の直接攻撃ができたとしても、8000を削り切ることはできません。一方、3000打点が絡むようになると、3000+2500+2500=8000、3000+3000+2300=8300といったように、ゲームを決定づけるターン数に影響してくるのです。

最強のモンスター除去 サンダー・ボルト

 そして、この構築済みデッキのもう一つの目玉であり、ゲームスピード高速化の助けとなるのが、サンダー・ボルトです。ブラック・ホールと異なり、自分のモンスターを場に残したまま、相手の場だけを崩壊させるため、一気に攻勢をかけることができます。

 また、青眼と同様、デッキの除去カードの総数が増えたという点も重要であり、以前よりも大型モンスターを場に維持し続けるのは難しくなりました。そのため、これまでの環境よりも、ライフレースの重要性が高まることになります。

小型完封 アクア・マドール

 上記2枚に比べると控えめですが、守備力2000を誇るアクア・マドールも相当に優秀なカードです。

 このカードを横で置いておくだけで、相手の小型モンスターの攻撃は完全にシャットダウンすることができ、除去を切るか、大型を横に出させることができます。

 また、種族が魔法使い族のため、秘術の書を装備できることも重要です。装備後は攻撃力1500になるため、女剣士カナンやエルフの剣士を戦闘破壊できます。守備にしておいて膠着させるのも悪くはありませんが、倒しておけば、アクア・マドールが乗り越えられた際のダメージを抑えることができるため、重要な選択肢です。

 

STARTER BOX環境 最強デッキ解説

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 モンスターの打点向上と、サンダー・ボルトの追加が変更点となっています。女剣士カナンに続いてエルフの剣士が登場したことで打点の最低ラインが1400となり、1200族はまとめて解雇されることになりました。これに伴い、猛獣の歯も抜けています。

 残り4枠のモンスターがミラージュ、タートル・タイガーになっている理由について解説しておきます。

 守備力の高さだけで比べれば、緑樹の霊王の1600が存在します。これを差し置いて採用されているのは、打点ラインの関係です。

 この環境では打点の最低ラインは1400であり、その次に強い打点は、1400に伝説の剣をつけた1700です。つまり、守備力1400と1700には明確に性能差があります。

 一方で、守備力1400〜1600には差が無いに等しいのです。一応、アクア・マドール+秘術の書の1500ラインが存在しますが、アクア・マドールは壁として使うのがメインのモンスターであり、裏守備に突っ込ませることは稀です。

 そのため、守備力1400〜1600のモンスターは、その中で攻撃力が高い順に優先されることになり、結果としてミラージュ3、タートル・タイガー1という構成になっています。

 前述したようにライフの価値が高い環境なので、わずかでも攻撃力が高いことが重要なのです。

 

環境の感想

 デッキだけ見るとクソゲー感が強くなったように思われるかもしれませんが、実際にプレイしてみると、STARTER BOXが登場してからの方が面白いです。

 理由としては、未だ不十分ではあるものの、カード間の格差がある程度解消されたため、プレイヤーのゲームプランニング能力によって勝敗が決まりやすくなったからです。

 ただし、引き運のウェイトが高いことも確かであり、カードプールの乏しさを再認識させられる環境でもありました。

 総論としては、現代の遊戯王とはゲーム性が大きく異なりますが、面白さとしてはなかなかおすすめできるレベルには達しているな、という感想です。もし気になるようであれば、是非プレイしてみてください。

Vol.1環境 全てはここから始まった

前書き

 最初の考察記事なので、本ブログの基本的な流れを説明します。

 記事は基本的に環境単位で執筆しますので、主に新カードの登場か、リミットレギュレーションの改訂がトリガーとなります。そのため、記事の始めで環境がどう変わったのかを紹介します。

 その後、環境考察を挟み、実際にプレイを重ねた中で導き出した、その環境における最強デッキを紹介します。最後に、プレイングの解説や、その環境をプレイしてみての感想等を付け加えて、1つの記事とします。

 

初期のルール「公式ルール」

 遊戯王はこれまでに何度かルールが変更されていますが、1番最初に制定されたのは公式ルールという名前のルールでした。遊戯王はルールが変更されるたびにゲーム性が大きく変わりますが、公式ルールは適用時期が現行ルールと最も離れていることから、様々な面で大幅に異なる代物となっています。そのため今回の記事では、環境考察に先駆けて、ルールの紹介から行います。

 ただし、現行ルールとの相違点を全て挙げようとすると膨大な文量になってしまうので、実際にこの環境をプレイするうえで重要になる点のみ解説します。

生け贄召喚の概念がない

 公式ルールでは生け贄召喚の概念がなく、モンスターはレベルに関係なく生け贄なしで通常召喚が可能です。

 そのため、このルール下ではレベルという概念は特に意味を持たず、モンスターは攻撃力/守備力の大小でのみ評価されます。

・魔法カード、罠カードは、それぞれ1ターンに1枚しか手札から出すことができない

 「手札から出す」という表現は、「手札からカードを発動、及びセットする」行為を指します。

 一見単なる使用回数制限なのですが、このルールには不明瞭な点があります。

 それは、魔法・罠ゾーンにカードをセットする際、相手にはそれが魔法カードか罠カードかわからないことです。

 例えば、既に魔法カードを発動したターンにカードを1枚セットするとします。

 この場合、伏せるカードは罠カードでなければいけないわけですが、その時点でそれを確認する術は相手プレイヤーにありません。

 この問題を解決するためには2つ方法があると考えます。

 1つ目は魔法・罠カードを手札から場に出すのは1ターンに1枚までと制限してしまうこと。

 2つ目はカードをセットする際、その種類を宣言する方法です。

 これらを比較した際、遊戯王というゲームにおいて、非公開領域の情報を、相手の宣言を信用することによって判断する、という行為に違和感があるため、今回の探究では1つ目のルールを採用することにしました。

 ちなみに、既にセットされている魔法・罠カードの発動制限はありません。

・どちらかのプレイヤーがデッキ切れになった場合、その時点でライフポイントの多いプレイヤーの勝利

 稀な決着のつき方ではありますが、試合が相当に長期化しやすい環境となった場合、ライフポイントの重要性が高まります。

・手札枚数に上限がない

 1ターンにリソースを集中させて試合を決めきるために、手札に大量のカードを抱え込む戦略をとることができます。

・先攻1ターン目はドローできない

 先攻展開といったものは存在せず、罠の先置きにもあまり価値がないため、後攻絶対有利といっていい環境です。

 

Vol.1発売 遊戯王の始まり

 1999年2月4日、記念すべき遊戯王OCG第1弾となる「Vol.1」が販売され、遊戯王の歴史が幕を開けました。カードリストはこちら

 このブースターパックの内容は、3種類に大別することができます。

1 通常モンスター

 この時点ではモンスターは通常モンスターしか存在しないため、ステータスが評価と直結します。

 ただし、最高打点がブラック・マジシャンの2500、次点が暗黒騎士ガイアの2300であるのに対して、3番手となるといきなり1200まで落ち込みます。この時点ではカードプールが乏しく、カードの強さに大きなむらがあることがわかります。

2 除去カード

 具体的には、ブラック・ホール、地割れ、落とし穴の3種を指します。戦闘を介さずにモンスターを倒す手段はこれら3種以外ありませんので、まさしく三種の神器といって差し支えありません。

3 装備魔法カード

 種族縛りありの攻守+300アップと、お世辞にも強いとはいえないカード群です。装備可能なモンスターを引けていないと、完全な事故要素となり、実質手札が1枚減った状態となります。

 

環境解説

 この環境ではひたすらモンスターで殴り合うという、たいへん原始的なゲームが展開されます。

 モンスターは大型、1200族、800族に分かれており、同サイズとの戦闘には装備魔法が有効となります。

 プレイせずともわかることではありますが、カードの性能差が激しいため、ゲームの勝敗は引き運に大きく左右されます。

 ブラック・マジシャンや暗黒騎士ガイア、除去三種の神器を多く引き込めればその分有利となり、反対に小さいモンスターや、対象不在の装備魔法を多く引き込めば負けに近づきます。

 

VOL.1環境 最強デッキ解説

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 まず、モンスターはステータスが大きい順に採用しています。ただし、完全にステータスだけで決めているわけではありません。

 ダーク・グレイまでは数値順ですが、眠り子、紫炎の影武者は比較対象として、守備力900のプチテンシや、800/800のドレイクが存在します。

 これらが優先されているのは、装備魔法の存在です。眠り子は秘術の書、影武者は伝説の剣を装備することで、同類を倒すことができます。2枚装備できれば、1200族にも勝ります。

 続いて、装備魔法が9枚採用されている点について解説します。とはいっても、採用理由は単純にこちらの方がマシだから、の一点につきます。

 具体的には、装備魔法を採用しない場合、代わりに弱小モンスターを投入することになります。

 弱小モンスターはいつでも場に出せるため、完全に腐ることはありません。しかし、これらは戦闘で機能しないため、できることは僅かなライフを削るか、身を挺して1回分の攻撃を防ぐか、です。

 召喚権とカード1枚を使って1回分の攻撃を防ぐというのはとても弱い行為ではありますが、この環境ではブラック・ホールの存在から安易な横並べにはリスクが伴うため、解決札を引くまでの時間稼ぎとしては悪くありません。

 問題は、弱小モンスターに枠を割いていた場合、その解決札の枚数が限られてしまうことです。

 装備魔法の場合、装備対象が引けるまで完全な死に札となるリスクは伴いますが、同類を一方的に戦闘破壊できるメリットがあります。

 同類同士の相打ちでも解決にはなるのですが、こちらの場に何も残らないのでその後のプレッシャーがないこと、暗黒騎士ガイアに至ってはブラック・マジシャンを討ち取れることを考慮すると、装備魔法3種投入が最も有効であるという結論に達しました。

 ちなみに、ダーク・グレイ、眠り子、紫炎の影武者の枚数が3、3、1なのは、伝説の剣の方が他2枚よりも価値が高く、小型モンスターにはあまり装備したくないからです。

 どういうことかというと、猛獣の歯、秘術の書が(1枚では)同じ攻撃力同士の戦闘でしか有効でないのに対して、伝説の剣は暗黒騎士ガイアに装備することで、ガイア同士だけでなくブラック・マジシャンにも殴り勝つことができるからです。

 

プレイング解説

 単純な環境ではありますが、実用性のある小技はいくつか存在するため、紹介します。

ゲームプランニング

 坊主めくりに近いゲームであることは間違いありませんが、ゲーム中にカードアドバンテージとライフアドバンテージを天秤にかける場面が頻出します。

 これはカードの強さにばらつきがあることが原因で、ブラック・マジシャン以外のモンスターは全て、素で戦闘破壊されるリスクを抱えています。そのため、カードアドバンテージを優先するプランは、比較的引きが良い場合にしかとれません。

 反対に、大型モンスターや除去カードを多く引けなかった場合、ライフを素早く削るプランに向かうことが多くなります。

 両プランでは、ブラック・ホールをケアするか、しないか、等でプレイングに違いがうまれます。

 カードアドバンテージプランをとる場合、モンスター2体を1枚で処理されるのを嫌うため、基本的は大型モンスター単騎で攻撃を繰り返します。相手はこれを倒せない場合ライフを犠牲にしますが、それも限界があるため、小型モンスターをセットすることで耐え凌ぎます。これを続けて、一方的な戦闘破壊でアド差が広がるのを狙います。

 一方ライフアドバンテージプランの場合、そもそも引けているカードがそこまで強くないことが前提ですので、ブラック・ホールをケアして単騎で殴るという行為は逆に勝ちから遠ざかるプレイングとなりやすいです。そのため、押せている時間帯にどんどんライフを押し込みます。最終的にカードの枚数差では不利になりますが、除去+ラストワンパンチ等でライフを削り切ることを目指します。

 この両プランは完全に独立しているわけではなく、グラデーションになっています。判断基準として、自分と相手の行動からどちらが良い引きをしているのかを予想し、自分の方が強いと考えればカードアドバンテージプラン、弱いと考えればライフアドバンテージプランに近づく、という流れになります。

 もっとも、ゲーム中盤までで大型モンスターと除去を2〜3枚ずつ引ければ、相手の引きも同じくらい強くない限り、まず負けることはありません。

大型モンスター温存

 カードアドバンテージ寄りのプレイで、敢えて小さいモンスターから場に出していき、それを討ち取りにきたモンスターを更に上から踏み倒すことを狙います。ライフを削るスピードは落ちます。

除去割り切り

 ライフアドバンテージ寄りのプレイで、除去を割り切って中型、大型を連打します。一気にライフを削れる反面相手が除去を引いていた場合の裏目は大きいので、仕掛けるタイミングの見極めが重要です。

モンスターの優先順位

 単純な話で、同じ攻撃力1200なら、装備魔法の対象となるシルバー・ファングは最後まで残しておきたいです。このように、同類のモンスターを複数抱えている場合は、装備魔法との兼ね合いで優先順位を決めます。

魔法カードセット

 この環境では実際にセットする必要があるカードは落とし穴のみとなっていますが、前述した魔法・罠カードの使用枚数制限ルールの対策として、魔法カードもとりあえず伏せておくことが正当化されます。これには落とし穴のブラフの役割もあり、相手の大型モンスター召喚にリスクを負わせることができます。

 セットする順序も重要であり、同じターンに2枚発動する必要がないものは後回しにします。

 例えば、この環境でブラック・ホールを同一ターンに2枚発動することはありません。そのため、他に魔法カードがあるなら、ブラック・ホールよりも先にそちらをセットした方がいい、といった考え方です。

落とし穴ケア

 できることなら、落とし穴で大型モンスターを除去されることは避けたいです。そこで、相手に伏せカードがある場合、敢えて大型モンスターをセットすることがあります。

 これにより、相手が小型モンスターをセットしたと思って攻撃してくると、大型モンスターはリバースして生き残るため、落とし穴にかからないというわけです。(大型モンスターセットに対して大型モンスターで攻撃されることは大きな裏目ですが、相手からするとセットが小型モンスターだった場合、1200族で討ち取れたものをわざわざ大型を場に晒したことになり、リスクが伴います。)

 

環境の感想

 今でこそ、遊戯王は公認大会も頻繁に開催されており、一定の競技性を前提として設計されています。

 しかし、この時点での遊戯王の位置付けは、おそらくコレクションアイテムとしての側面が強かったものと思います。

 そのため、遊ぶことはできるけれど、まともにやり込もうとは思えない環境でした。

 それでも、前述したように一定のプレイングや読み合いは存在していました。これは、遊戯王というゲームが持つ根源的な面白さなのではないでしょうか。

 諸々含めて、遊戯王はこういう始まり方をしたんだ、ということが実感できて、感慨深いものがありました。この、自分も歴史の生き証人になったような感覚を得られるのが、歴史探究の醍醐味だと思います。

 

 初回ということもあり、文量が多くなってしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございます。

 最後に、私が友人達との間で考察できる範囲には、限界があります。実際にプレイしてみたり、カードリストを眺めていて気づいたことなどありましたら、是非コメントをお願いします。

 この探究がどこまで続くかはわかりませんが、どうぞこれからよろしくお願いします。

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ごあいさつ

 遊戯王OCGが誕生してから、20年を超える年月が経過しました。

 今でも環境の最前線でプレイしている方、昔はプレイしていたけれど今は遊んでいない方、一度離れたけれど復帰した方等、長い歴史の中で、各々が打ち込んだ環境、好きだった環境があるのではないでしょうか。

 このブログでは、遊戯王の歴史を初期まで遡り、各環境毎の最強デッキを探究していきます。

 元々、友人との間でこうした遊びをしていたのですが、思っていた以上に発見が多く、せっかくなら記録を残したいと考え、ブログ開設に至りました。

 同じような遊びをされている方は少ないとは思いますが、実際のところ、当時最強のデッキは何だったのか?という関心を持っているプレイヤーはそれなりに存在するのではないでしょうか。

 探究方法は、実際に当時のカードプールからデッキを作成、対戦を繰り返していくという実戦に基づいたものとなっています。

 私を含め、プレイヤーは長く環境に身を置いてきた者ばかりですので、デッキ構築、プレイングには一定の水準は持たせられると思います。

 しかし、極少人数の間で議論を重ねるため、環境考察に抜けが発生する可能性は十分にあります。何か疑問点等がありましたら、気軽にコメントしていただけるととても助かります。

 このブログで遊戯王の歴史、遊戯王自体に関心を持ってくれる人がいれば嬉しいです。

 最後に、この探究の情報源、指針として、遊戯王カードWiki、及び遊戯王史を多いに参考にさせていただいております。これらの偉大な先駆者が存在しなければ、探究は非現実的なものとなっていました。Wikiの運営、編集に携わってきた皆様、遊戯王史の執筆者様には厚く感謝を申し上げます。

最強デッキ探究に関する補足

 最強デッキと一言にいっても曖昧な部分があるので、補足しておきます。

 私の目指す最強デッキというのは、環境の最前線で戦うプレイヤー、いわゆるガチ勢の方が目指す方向と変わりないものかと思われます。

 具体的には、できるだけ多くのマッチで勝利することを目的とた、その環境のルール、カードプール内で、最適なデッキということです。

 また、デッキというのはアーキタイプではなく、カード1枚単位の構築のことを指します。今のところどの時代まで辿っていくかは未定ですが、特に初期の頃はデッキの種類が乏しいため、理論上最強の40枚(+α)を考えていきます。

 複数のアーキタイプが存在すると認められる環境の場合、メタゲームを突き進めていくと1つの最強デッキが決まるのか、メタの周りによって1つには絞れないのかが判明するところまで考察を進めたいと考えています。