Vol.6環境 激化するグッドスタッフvsエクゾディア
Vol.6 発売 グッドスタッフ、エクゾディア双方に大きな影響
グッドスタッフ優勢な状態が続く中、1999年11月18日に、Vol.6が発売されました。カードリストはこちら。
環境激動 クリッター、黒き森のウィッチ
汎用性が高く、長い間活躍している有名なカードですが、このパックで登場しています。
恐ろしいことに、当初は一切の制約がなく、どこから墓地へ送られても誘発する効果となっていました。そのため、天使の施しと組み合わせて使うことで手軽に+1アド、2アドを稼ぐことが可能となり、環境は大幅にインフレしています。
また、それぞれがクリッターとウィッチ自体をサーチできることも重要で、計6回まで手札コストを踏み倒すことができるようになりました。これにより、以前では採用が難しかった死者への供物といったカードにスポットライトが当たっています。
グッドスタッフでは上記手札コスト踏み倒しに用いる他、白い泥棒や聖なる魔術師を状況によってサーチできます。また、サーチの特性上1枚でもデッキに入っていれば持ってくることができるため、シルバーバレット戦術を取ることが可能となり、構築の戦略性が高まりました。
エクゾディアではコスト踏み倒しの他、直接エクゾディアパーツをサーチすることが可能になり、パーツ回収スピードが大幅に上がりました。死者蘇生をパーツに変換できるようになったことも高速化に拍車をかけています。
神の宣告
こちらも長期に渡り活躍しているカードです。ライフ半分のコストは重いですが、この環境にはマストカウンターとなるカードが多いわりに有効な罠は少ないため、グッドスタッフでは必須と考えています。
マジック・ジャマー
クリッター、ウィッチのおかげで採用できるカードです。この環境では無効にしたいカードは魔法カードが最も多いため、クリッター、ウィッチを引けてさえいれば、神の宣告よりも優秀な場面が多いです。
ハーピィの羽根帚をケアしやすくなった点も重要で、グッドスタッフのミラーで白い泥棒をケアするために、手札を可能な限り伏せるプレイを選択しやすくなっています。これにはモンスターの枠がクリッター、ウィッチに置き換わったことも影響しています。
盗賊の七つ道具
汎用性の高いカードですが、この環境ではカウンターをカウンターするためのカードでしかなく、優先度は低いです。
Vol.6 最強デッキ該当無し 解説
これまでは各環境で最強の40枚を公開してきました。この環境でも同様のことをしようとしましたが、最強デッキは存在しないという結論に達しました。理由は、ここにきて初めて、メタゲームが機能しだしたからです。
具体的にいうと、グッドスタッフ同士、エクゾディア同士で調整した場合、ミラー最強のグッドスタッフ、エクゾディアが完成します。これまでは、この内どちらかが、ミラーでも最強だし、ミラーではない方のデッキが、こちらに対策を寄せた構築をしてきてもなお有利だったため、最強デッキという概念が存在しました。
しかし、今回の環境ではグッドスタッフとエクゾディアにそこまで大きな実力差がなく、デッキをグッドスタッフとエクゾディアのどちらにどれくらい寄せているかが勝敗に大きく影響する状態が成立しています。こうなると、どうあっても最強のデッキというものは存在しません。
そのため、今後こうした環境では、それぞれのアーキタイプにどういった選択肢があるのかを紹介していくことにします。
グッドスタッフ ミラー意識サンプル
ヂェミナイ・エルフピン刺し
ミラーマッチはライフを削り合うというよりも、白い泥棒によるハンデスを狙い合うゲームとなっています。また、クリッター、ウィッチでも白い泥棒は戦闘破壊できるため、ヂェミナイ・エルフの役割は専ら残りライフを押し込むこととなります。
大抵は神の宣告によって4000を下回ったライフに対して、死者蘇生を合わせて1000+1100+1900=4000のバーストダメージを出す為に使います。
1枚採用していれば確実に勝ちにできる場面が散見されたため、ピン刺しでの採用となっています。
死者への手向け
クリッター、ウィッチのおかげで採用できるようになったカードです。白い泥棒の攻撃を通す際、場をこじ開けるために使います。
神の宣告、マジック・ジャマー
ミラーマッチでは強欲な壺や天使の施し+クリッター、ウィッチによってアドバンテージ差をつけられることが敗北に直結するため、両方3積みしています。また、これらの罠が採用されだした関係でハーピィの羽根帚の価値も上がっています。
グッドスタッフ エクゾディア意識サンプル
メタモルポット3積み
グッドスタッフはエクゾディア側のライフを削り切るよりも、エクゾディアの完成を不可能にする方が容易です。そのため、白い泥棒のハンデスと合わせてメタモルポットを使い、エクゾディアパーツのどれか一つを全て墓地へ送ることを目指します。
エクゾディア ミラー意識サンプル
自爆用 死者への手向け
エクゾディアのミラーマッチでは、場に出したクリッター、ウィッチが相手によって墓地へ送られることはありません。そのため、能動的に破壊することができる手向けが役に立ちます。
エクゾディア グッドスタッフ意識サンプル
エクゾディアパーツ2積み
ミラーマッチではとにかくパーツを揃えることが重要なため、パーツは全て3積みしていました。しかし、天使の施しでクリッター、ウィッチを捨てたい関係上、以前ほどダブつきを寛容できなくなっています。そのため、防御を意識する必要があるグッドスタッフに対しては、枚数を削減しています。
リバースモンスター大幅削減
グッドスタッフには心変わりや死者への手向けといったリバースモンスターの解答が標準搭載されているため、リバースモンスターの効果を通すのは容易ではありません。そのため、リソースをリバースモンスターではなく他に回すことで、損失を防いでいます。
サンダー・ボルトよりもブラック・ホール
ミラーマッチの項で触れたように、自分のモンスターを破壊できることをメリットと捉えて優先しています。
反対に、ミラーを意識した際にブラック・ホールが入らないのは、相手のモンスターを破壊してしまうのがデメリットとなるからです。
ハーピィの羽根帚
強欲な壺、天使の施しをカウンターされるのが辛いため、グッドスタッフに寄せるほど羽根帚の枚数は増えていきます。
環境解説
最も大きな変更点として、いずれのデッキにおいても、先攻を選択するようになっています。
公式ルール、エキスパートルール共に先攻はドローがないため、先に1枚多く使える後攻を選択するのが定石でした。
しかし、この環境では強欲な壺に加えて天使の施し+クリッター、ウィッチのコンボが登場したことで、先攻の不利を簡単に覆すことが可能となっています。
さらに、カウンタートラップも先攻で伏せておくのが最も強く、相手の壺、施しを止められる見込みがある点でも先攻が優れています。
実際の環境としては、例えば特定の大会が開催されることを想定した場合、どちらのデッキを使うにしても、各々がグッドスタッフとエクゾディアどちらにどれくらい寄せるかを選択し、その日のデッキ分布に適した割合の構築のプレイヤーが勝ちやすくなるといったものとなるでしょう。
数ヶ月の単位をかけ、多くの競技的プレイヤーによって調整が成されれば、どちらがデッキとして強いかがわかるかもしれませんが、そこまで大きな差があるようには思えませんでした。結局のところ、どちらのデッキを使うにしても、強欲な壺と天使の施しをどれくらい通せたかが重要です。
環境の感想
初のメタゲームが機能した環境ということで、これまでにないデッキ構築の楽しみがあります。試合以前の段階、即ちメタの予測からデッキの考案までで見れば、過去最高の環境だといえるでしょう。
一方で、ゲームの中身自体はあまり健全ではなく、先攻をとられて壺施し連打からの宣告ジャマーセットをされる等、実質ゲームが成立していないようなこともあります。
総評としては、クリッターとウィッチによって環境が破壊されてしまったという印象を受けました。